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2005年03月20日

貧困な人生を送らないためには

水面.jpg

一昨年、延べ半年ほど、LosAngelesで過ごした。もちろん仕事です。これはなかなか面白い経験だった。ときどきはシリコンバレー近辺の企業や、東海岸はPittsburghまで足を伸ばしたけれども、全体としてみると、やはりアメリカという国の衰退が目に見えていた。

大衆消費社会のリーダーとして、常に「豊かな生活」をできる国として筆頭に上がっていたアメリカは、いまや「奥様は魔女」なんかの「黄金の1960年代」と呼ばれる時代を通りすぎ、いよいよドルが世界の機軸通貨ではなくなる日を迎えることになった。これは、前の記事に書いた通りだ。

毎年、米国の市民権をクジでもらえる、という「DVプログラム」がある。応募にはなんの資格もいらない。でも、そのプログラムへの応募もかなり減っている、という。もうアメリカはかつてのような「自由」が語れる「豊かな」国じゃなくなっちゃったんだね。いま、あの国の貧富の差はとても激しい。前にも書いたけれども、人口の上位1%の人のGDPと、それ以下の人たちのGDP(要するに給料の合計)が等しい。富が集中して、貧困が大きな問題となっている。自暴自棄になる人も多く、凶悪な犯罪が後をたたない。刑務所は満杯だけれども、「小さな政府」になってしまっているので、行政に回るお金がない。刑務所の環境も劣悪になる。

貧困層の人たちの子供が通う学校も、一部だが、財政難で毎週1日、週末とは別に休校日を作らざるを得ないところも出てきている。あの国で上位1%の所得をもっていなければ、教育さえまともに受けられない。もちろん、日本のような保険制度が無く、お金がなければ医療をまともに受けられないから、「人生50年」が普通だ。貧しい99%の人にとっては。

資本の集中というのは、こういう社会を作ることを意味する。

日本をそういう国にしたい、と思っているのは誰だろうか?きっとその上位1%になれることが確実な、ごく一部の人たちだけだろう。あとの99%は「民営化だけが経済の活性化につながる」ことを信じさせられ、やがてその99%に落ちていくようになっているのだ。

いま、日本にいて本当に恐怖するのは、こういった米国のことや、中国など他の国の情報が、だんだんと中に入らなくなってきている、ということだ。だから多くの人はまだアメリカは豊かな国だ、と思い込んでいるし、日本という国がまだ世界でかなりの存在感を持っている、と信じている。いや、知っている人でも、嫌われたくないから、本当のことを言わない。

本当はそうではない。

日本はすでに世界的に信用されない、存在感のない国になった。アメリカは貧困を絵に描いたような「第三世界」の国になった。

本当のことだよ。いや、ここを読んでいるあなたなら、言わなくてもわかっていることだろう。でも、この事実を、いまあらためてここで言っておこう。この事実をちゃんと正面から受け止め、これから、自分で自分の道を探っていくことこそが、ここに住むぼくらが子供たちに胸を張って生きることを教えられる、唯一の道だろう。

決してごまかさず、自分も人も偽りで煙にまいてはいけない。ぼくらはもっと正直に生きる道を探る必要がある。ぼくらはなにを間違えて、こんな醜い姿になったのか。その醜い姿を鏡に映し、正面から見て、これからどうしていくかを、その事実から逃げずに考えなければならないのだろう。

あなたの子供が、働かずにブラブラしている?「ニート」だって?それはきっと、その親が、社会が、真剣に今を生きる姿を子供に見せていないからじゃないのかな?あなたの醜い姿を見て、その子供である自分を嫌悪しているからじゃないかな?

ぼくがLAと東京を行き来していたあの半年のあいだ、成田空港に降り立つ都度に、ぼくは思った。「日本人ってのはなんて暗くなったんだ?」と。自分に自信を持って、困難に立ち向かう姿勢が、みんななくなってしまった。そして、ほとんどの人はその自覚がない。だから、手が打てない。いま、日本人の多くは、そんな感じなんじゃないかな。

投稿者 nori-m : 2005年03月20日 10:35

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» アメリカの貧困層拡大 from 最新、アンケートによると
米国勢調査局の  「04年米所得調査」によると(毎日)  http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/200508... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年08月31日 23:30

» アメリカの貧困層拡大 from 最新、アンケートによると
米国勢調査局の  「04年米所得調査」によると(毎日)  http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/200508... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年09月02日 09:19

コメント

>だから、手が打てない。いま、日本人の多くは、そんな感じなんじゃないかな。

ううむ。では三田さんの打つ手はなんですか?
僕は自分なりにブログで発信してるつもりです。

と書いたところで、昨年からのブログを読ませていただきましたが、わかるようなわからないようなです。
日本をアメリカのような貧富の格差の大きな社会にしたくない、ということはわかりますが、そのために何をするのか?が見えません。

何も策がないのなら、アメリカの資本主義の力に負けてしまうと思います。なにか別の道を示す必要があるのではないでしょうか?

投稿者 ひろ : 2005年03月20日 17:26

ひろさん、いつもコメントをありがとうございます。

私もblogなどを通して、いろいろな抵抗はあるにせよ、自分のつかんだ事実を、ちゃんと発信し、それを書く自分、読む読者の方々に「いま、自分たちはどこにいるのか」という地図を用意する、ってことが、まず必要なんじゃないかと思っています。

いま、みんな地図の無いところで模索している、という感じだと思うのですね。どこに行くにも、現在位置と目的地がわからなければどうしようもありません。

民主主義の根本は「情報を隠さないこと」だと言います。つまり、情報が与えられないところや、間違った情報が流れるところには民主主義は育たない。経済もまた、大衆消費社会をこのまま続けていくのであれば、より多くの人を豊かにし、情報をあまねく行き渡らせないと、いずれ縮小していくように思うのですよね。

思想とか哲学、教養といった、今は日本では誰もが忘れてしまったようなことも、自分たちがもっと豊かになるためには必要なものだと思います。これもまた、情報をちゃんと発信していきたいです。お金ってなんのためにあったのか?すくなくとも、そういう疑問を抱ける程度には、みんな賢くなって欲しいと思います。

そうでないと、自分のお金を増やすものは善、減らすものは悪、みたいな、餓鬼のような醜い人ばかりが増えていくように思うのですね。自分で自分の醜さが見えないのです。

前にも書きましたが、ニーチェが言う通り、「自分のことを軽蔑できない、もっとも軽蔑すべき人間」が、いま、日本には増えていて、実は経済だけではなく、これが、日本を「どうもいい国」と周りから思わせている根本にあります。

ハーバード大学で教鞭を取る国際政治学者、サミュエル・ハンチントンはその「文明の衝突」という著書の中で「日本は近代化されたが、西欧にはならなかった。日本は孤立していて世界のどことも文化的なつながりが持てない」と言っています。つまり、文化的にも日本は他の国から見て「どうでも良い国」と思われています。簡単に言えば仲間外れですね。

だから、経済だけ見ていると、実は間違えてしまう。日本はお金がなくなったから、経済が衰退したから、相手にされなくなったんだ、と。

でも、そうじゃなくて、日本は相手にされなかったからこそ、札びらで人の国にズカズカ上がりこんで、なんとか存在を認めてもらってた、っていう悲しい存在だったんですよね。で、いま、そのお金もなくなってきている。

ここでいま一度「お金」にすがるのか?いや、それは違うだろう?ということがあるんですよね。私の見方は。

投稿者 nori-m : 2005年03月20日 19:50

>サミュエル・ハンチントンはその「文明の衝突」という著書の中で「日本は近代化されたが、西欧にはならなかった。
>日本は孤立していて世界のどことも文化的なつながりが持てない」と言っています

 三田さんは、ハンチントンさんの日本観をえらく否定的に捉えられてますね。
 僕は、かの本を読んで、日本は国際的な接着剤になれると取りましたが、主観的な問題なんでしょうね。

>ここでいま一度「お金」にすがるのか?いや、それは違うだろう?ということがあるんですよね。私の見方は。

 そういう風に考えられているのは、なんとなく察しがつきますが、具体的にどのように考えられているのかな?と疑問を呈した次第です。
 まぁ、僕は向こう見ずの恥知らずなので、何も知らないくせにつらつらと書いているわけですが(^^;

投稿者 ひろ : 2005年03月20日 21:35

ひろさん、コメントありがとうございます。

えーと、ハンチントンは「孤立」と訳される語を使った以上、その書の内容は日本に対して否定的です。「接着剤」というのは楽観的すぎますね。

おそらく、このまま、自己の中にむかってのまなざしを忘れていれば、日本の衰退はこのまま続くとぼくは見ています。

投稿者 nori-m : 2005年03月20日 21:51

ブログだけではやはり弱いと思いますが、方法がないですねぇ。日本はもっと急速に衰退する予感がします。島に住んでるんですが、ここでもちょっと変です。

http://www.asahi.com/english/weekly/column/agnes.html
学校給食費が払えない? 経済大国の子供たち

(自分もこの仲間なんで、もうなんとも言えません。)

投稿者 めぎや : 2005年03月21日 18:59