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2005年02月24日

バカは今でもシリコンバレー

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シリコンバレーの凋落って、実は日本ではあまり声高に言われる場面がない。だから、ボーッと新聞を読んでいると、ついつい「ITのメッカはシリコンバレーだよな」なんて、まだまだ思ってる人がきっと多いんだろうなぁ。

シリコンバレーはもうだめだね、というのが大方の人の意見。2000年の4月ごろ、おおかたの「ITバブル」は終わった。それに2001年の9月のテロ事件がトドメをさした。ぼくは1986年から毎年、仕事でなんどもシリコンバレーはじめ米国の各地を回った。2002年から2003年にかけても何度か行ったけれど、いや、大変な凋落ぶりなのだ。

シリコンバレーの中心地と言われる、SanJoseの空港近く。そこにあるMariottホテルのレストランは、昼間でも閉店。米国で主な商談の場となっている昼食時のレストラン。そのレストランが軒並みなくなっている。開いているところに行っても、客は少ない。とても、とても、少ない。

ビルのテナントが7割空いている。

シリコンバレーの住人のうち、IT業界で生きていた人たちのかなりの数の人たちが、インド人や中国人だった。白人はもともと、あまりいなかった(IT=インド、台湾の略、なんて言われたくらいだ)。でも、そのインド人も中国人も、そのほとんどが2000年以降、シリコンバレーを捨てて、本国に帰った。たまに、シリコンバレーで仕事の話があっても、「じゃ、打ち合わせは上海でね」みたいな仕事が増えた。

よく「シリコンバレーに長くいました」みたいなことを言う「通ぶった」人たちでも、自分の権威を落としたくないのか、この凋落ぶりをはっきりと言う人はとても少ない。「いや、シリコンバレーにいましてね」という人がよくその地の自慢話をするのを聞くことがあるけれど、その場で「じゃ、September11(テロ事件)以降はどうなんですか?」と突っ込むと、それまで自慢話をして得意げだったその人がいやーな顔をするんだな。

自分の自慢話ばかりしてないで、本当のことを言えよ、という感じだよ。まったく。

で、インターネットの先端技術とシリコンバレーがどうのこうの、だって?寝言を言ってるんじゃないよ。まったく。という感じだね。インターネット自身が既に当たり前の技術であって、本当の先端技術なんてものは、もうインターネットにはない。いま、本当の先端技術はバイオの一部と、ITのごくごく一部にしかない。

そして、日本のハイテク評論家のほとんどはバイオの世界を知らない。だから、ほとんどのこういった人たちは、その企業を訪問しても、彼らがなにをしているのか、まるでわからない。評論も解説もできない。バイオとITの融合ってのがこのところの結構な「先端技術」の1つなんだが、これはあまりにもマイナーであまり知っている人もいない。IT業界の専門家でも、バイオに注目する人はあまりいないから、なおさらだ。

本当の先端技術は、実はわかる人にしか見えないところにちゃんとある。そして、それが見える人たちどうしで共有している。秘密でもなんでもなく、「それ」がわかっている人どうしで「次の時代はこれだね!」と納得しあっている。でも、一般の人には、ましてや評論家などには、まずそれは見えない。ぼくがかかわっていた頃の、最初のインターネットがそういうものだったから、それはよくわかる。あの当時(といっても1980年代後半だ)に、「インターネット」と言う言葉を使っても、日本の普通の技術者には「なにそれ?おいしいの?」なんて言われるのがオチだった。いまやそのインターネットの要となったOSであるUNIX、そしてUNIXを記述した「C」という言語にぼくは注目して、その道を進んだけれど、そのときだって「三田さん、Cだ、UNIXだって、そんなお金にならないものやってどうするの?」なんて、何度も言われたものだ。ぼくは、そういう一般の技術者から「仲間はずれ」にされた。

ぼくはまた、今の先端技術にもかかわっている。でも、かつてインターネットのときにそうであったように、「なぜそれが先端技術であるのか」「なぜそれが人類の将来を変えるのか」ってことを説明してわかってもらうまでに、大変な労力がいる。そんな労力を使うくらいだったら、仕事していたほうがいいよ。だから、普通はそれはしない。

かくて、本当に本物の先端技術は、決して一般の人の目には触れない。いや、触れたとしても、普通の人にはそれがなぜ大切なものなのか、ということがまるでわからない。だから、いま、「インターネットの先端技術」なんてものを解説した「本」なんてものがあっても、それは既に今の時点で先端でもなんでもない、というレベルのものなのだ。ぼくに言わせれば、「先端」でもなんでもないものを「先端」なんて言うなんて、それは詐欺だよ。

先端技術って、そういうものなんですよ。だから、簡単な解説本なんかでだまされちゃいけないよ。それが本当に先端技術であればあるほど、一般の人にやさしく解説する、なんてできっこない。そんなこと、あたりまえでしょ?だって、「それ」を説明したりする「概念」とか、その概念を表すことばさえ定かじゃないものなんだから、説明なんて難しくなるに決まっている。簡単に説明なんかできない。だから、「先端技術(Leading Edge Technologies)」なんだから。

あわよくば人より先に、人がまだ目をつけていないところでうまい汁を吸おう、なんて考えている投資家のみなさん。あなた方に、うまい汁を吸っていただくのは、おそらくもうちょっと後になる。ごめんね。

投稿者 nori-m : 2005年02月24日 22:44

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コメント

>それが本当に先端技術であればあるほど、一般の人にやさしく解説する、なんてできっこない。

してください。

投稿者 unk : 2005年02月28日 23:06

unkさん。コメントをありがとうございます。
あまりまじめにお答えしてはいけないものなのかな、とは思うのですが、そうであっても、まじめに答えると、それがまた、今後のお話の発展に良いこともありますから、まじめにご返事します。

ぼくはとても正直なので、身内の「話してはいけないこと」あるいは「外部に話してもわからないこと」でも、ついつい話してしまいます。普通は話してもわからないから黙っているのですけれどね。どんな世界にも、そういう「秘密」ってありますよね。別に秘密にしたくてしているんじゃないけれども、話してもわからないと思うから、結果として、後で考えると「秘密」と同じことになってしまう。

インターネットが出てきたばかりのころ「これ、すごいんだぜ!」と何度宣伝して言っても、誰もこっちを向いてくれなかった。そのときのことが思い出されます。「なぜそれが必要か?」とか「そのものの存在意義」ということが、まだ、まるで目の前にない新しいものだと、みんな「それがある世界」の実感がわかない。だから、心の片隅にさえ、みんな残らない。後で「こんないいものを隠していて!」なんて言われるんだが、それは後になってからの話。ちゃんとぼくは話したじゃないですか!と言っても、「ああ、そうだったね、そういえば。。。でも、そんな前のこと、覚えてないよ」となる。

簡単に言うと、それだけのことなんだと思います。
先端技術に触れている、ということは、ね。

投稿者 nori-m : 2005年03月01日 06:08