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2005年02月14日
洗脳

オウムといえば江川さん。その江川さんの堀江氏へのインタビュー。でも、どう考えても将来にわたってあのライブドアがメディアになれる、あるいは、メディアとして大衆に認知される、ってことはまずないんじゃないだろうか?いや、たとえあったとしても、さらに大手のyahooでさえ、この程度だし、Googleはニュースを初めても、しょせん「あのGoogleがニュースをやった」という程度のこと。であれば、堀江氏の本当のねらいは、
株価
しかないよね。やっぱり。
前から、取材網をきっちり持っていて、普通の新聞社のように、ネット時代の足かせとなる輪転機と販売網を持っていない新聞社ってどこだかわかりますか?共同通信社(厳密に言えば新聞社じゃないけれど)なんだよね。彼は古びたメディアの日本テレビなんか狙うんじゃなくて、ここを狙えばよかったのかも。
何年も前から、「共同通信社は早くネット新聞社に転換したほうがいいんじゃないの?」とは、ぼくは勝手に言っていたのですけれども、なかなか図体も大きいから、簡単に転換は図れないよね。そこを狙えば面白かったかも。
ところで、お金だけで世の中を見ている人、テレビだけで世間が見えちゃってる、と思っている人には見えないだろうと思うけれど、米国HP社のフィオリーナおばさんがCEOを辞任した、ってことがあったよね。今回はどうやら違う騒ぎのようだが、根底には、HP社の創業者一族との葛藤が尾を引いていたことは、誰でも知っている。儲かればそれでいいんだ、という資本主義の権化として君臨したフィオリーナ氏は、自分で儲からないお荷物部署(PCの部署だね)を1つ作ったとたん、自らの論理で自らが刺されてしまったわけだな。お金と組織をいくら繰ることができても、株主や、社員、役員との信頼関係がないからだね。
また、小糸製作所の騒ぎも覚えているだろう。株主になったからといって、役員や社員が全員株主のほうを向くとは限らない。言うことを聞くとは限らないんだな。だから、小糸の大株主は、何度も役員と摩擦を起こし、役員は社員と団結して、結局は株主を追い出してしまったよね。あの騒ぎは面白かったよ。つまり、カネは出せ、口は出すな、ということを地で行った。
資本主義の原点には「人はみんなお金の言うことを聞くものだ」という、大原則がある。たしかに、戦争のように、暴力で人の言うことを聞かせる、というよりはよっぽどいいことかも知れない。でも、それでも「いやだはいやだ」になると、もう人間というものは抑えがきかない。それが、自分とその周りの世の中が破滅に向かう道だろうと、なんだろうと、いくらお金を積まれても「いやだはいやだ」なんですね。
いま、おそらく、彼を気に食わない、と思う人は、わずかのお金を積んだだけで、堀江氏に本物の刺客を差し向けることだってできる。でもそれをしない、ということは、要するに、彼もその程度のもの、ということをわかっているからだよね。リクルート事件で何人もの人たちが「謎の自殺」を遂げたことを思えば、この程度はどうでも良いことと思われている。だから、彼は狙われない。いまでも、暴力で人に言うことを聞かせる、ということは、やはり裏を見ればあったりする。
あとね、お金を握っている人が、必ずしもその事業の全体をわかっているわけじゃない、ってことも大きいな。人と組織あっての事業であり、事業収益。そして、それをもとに金融があり、株なんてものもあるわけだけれど、事業の中身がわからない人がどうやって納得してお金を出すのかな?
かつて、投資の判断をちゃんとするだけの調査の時間があった時代では、今はない。ということは、専門家でさえ調査がちゃんとできないうちに投資の判断を迫られる。だから、投資は投資ではなく、そのすべてが「ギャンブル」になってしまう。それが今という時代の資本主義のありようなんだろうな。つまり、資本主義のもととなる、目に見えない「原則」とか「まっとうな投資指標」みたいなものが、実は投資家全体から見えなくなっている。それが今なんだよ。ついでに言えば、だから証券会社の人はその事業についての勉強をしないほうがいい。事業をわかっていると、危ないところやリスクもわかってしまうから、正直なことを投資家に話さなければならなくなる。当然、前向きの良い話ばかり聞きたい投資家を騙すには、それを勧めるほうだって、知っているよりは知らないほうが勧めやすいんだよね。「ぼくも騙されちゃうから、あなたのだまされましょーね!」って言いつつ、やがて減る一方のお金をふんだくるためには、自分も騙さなきゃいけないもんなんですな。証券屋さん、ってのはね。だから、証券屋さんは自分で事業のことなんか知らないほうがいい、って思ってるの。
いま、ぼくはまさに投資の只中にあるバイオベンチャーの仕事をしているけれど、そこでも特にこのことを感じる。投資する側はその指標として「特許の数」なんてものしか見ない。でも実際に問題なのはその「特許の中身」であり「その特許にもとずいた事業の収益性」でなければならない。でも、そこまで「読める」人はまずいないんだな。どこにもね。でも、投資は行われる。株価は上場によって上がるけれども、事業本体の収益は一向にあがらない、なんて場合も多い。いや、そのほうが圧倒的に多い。そうならないために、ぼくたちは努力しているのだけれども。
いや、あの最盛期のシリコンバレーでさえ、投資した事業の成功率は3/1000と言われていたんだから、ベンチャーの事業への投資なんて、まさに率の悪いギャンブルそのものだろう。
堀江氏がいくら吼えようとも、また、「経営戦略云々」と言ったところで、ほとんどの人は「ああ、またか」と、彼の「株価吊り上げ」のアドバルーンとしか、この事態を見ていない。熱くなってないんだよね。
前の球団買収のとき。あのときはちょうど参議院選挙前だった、ってことを思い出してほしい。そのとき、共同通信社の一記者がライブドアに浴びせた「冷や水」が、株価にどう影響すると考えたのか?そして、裏で、上がったライブドアの株を使って、誰が何をしていたのか?この業界で長くいればいるほど、その裏になにかあったんじゃないか、ってことを考えなかったやつはまずいないだろう。物事には表と裏ってものがあるんだよね。
球団の次はマスコミですか。次は宝塚かヨシモトの大株主にでもなるんじゃないの?みたいに思われてるライブドアは、要するに、業界の「イロモノ」という感じをぬぐいきれない、と思っている人は多いんじゃないかな?だから、彼には品というものが感じられないんだよね。品のない経営者は、その出自がどうであろうと、リクルートの江副みたいな追い出され方をするものだよ。日本では。
別に、伝統的なマスコミの人たち全部がいいとはぼくは言わないけれども、堀江じゃ、ねぇ、という感じもまた、あるのは事実なんだよね。というかね、彼はそういう役どころなんだよね。
投稿者 nori-m : 2005年02月14日 19:33