2005年01月21日
突然ですがバイオのお話です

「貞ちゃん」さんのお褒めのことばの載って いる記事、ありがとうございます。共同通信とか何ヵ所かのコラムを書か せていただいている身としては、大変に励みになります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
実は、2003年に、ピッツバーグはお仕事でちょっと行きま した。何のお仕事かというと、「バイオ」なんですよね。なんでピッツバーグがバイオなのかというと、ここは鉄鋼王カーネギーも産んだ鉄鋼の街だったのだけれども、外国の安い鉄が入ってくるようになってさびれてしまい、ゴーストタウンみたいになってしまったんだね。そこでバイオで町おこしをして復活した、という話があって、これがけっこう「ピッツバーグ・モデル」として有名になった。その企業のいくつかにお仕事に行ったのです。
ぼくは本職がITの技術者・研究者なんだけども、あるご縁で昨年は国のバイオの研究所に1年間いました。でも、バイオの本場はやはり米国。だから、その研究所に行く前に、米国のバイオ事情を知りたいと思って、その調査研究をお仕事にして米国に行ったのです。いま、日本の個人投資家はバイオのほうに目が向いてるし、2005年度の日本の国の科学技術の重点投資項目にバイオも入っているのだけれど、まだまだ、米国に比べれば日本のバイオはお子ちゃまのお遊びに近い。
米国のバイオ研究の総本山と言われているNIH(National Institute of ealth)の年間研究予算はおよそ3兆円。この金額は日本のすべての分野の研究機関の年間予算と同じなんですよね。ケタが違う。従って研究の内容も成果も違う。
これまでの「貞ちゃん」さんとのトラックバックのやりとりで、米国は貧富の差が激しい国だ、ということはかなり明確になったのだけれども、これはつまり、米国という国の基本的な経済構造が「投資」すなわち「ギャンブル」のお金で成り立っている、ということなんだよね。日本の経済構造は積み上げで成り立っているから、あまりギャンブルはしないし、できないのだけれど、米国は「まず投資ありき」から始まる。企業の淘汰は当たり前。だから、転職の市場も日本より充実している。
だから、投資を活発にするため、資本を集中させて一部の投資ができる階層の人たちをわざわざ作っていく、という考え方が生まれる。その結果として、貧富の差も激しいばかりに生まれてくる。ただし、その事実を隠しているから、だれにでも公平な世の中にならないんだな。そこが問題。
米国でのぼくの仕事はほとんど西海岸だったのだけれども、今でも思い出す光景がある。オークランドの小さな公園のところにいた母と2人の子のホームレスの姿だ。今思い出しても、こころが締め付けられる。正面から見ていられない。
競争による貧富の差を前提とした社会が、生きている人すべての幸福を考えているとは言えない。対して「社会主義」と揶揄されることもある日本の社会は、ビル・トッテン氏の言うように、米国型の社会にはない、良いところがある。そして、世界的な経済成長という幻想がなくなった今、米国型の社会は破綻しようとしているのじゃないだろうか?そして、あのテロ事件までは隠されていたその米国の破綻が、テロ事件をきっかけに表に出てくるようになった。そういうことなんじゃないかな?
昨年、東京に職を持つ女房と子供たちにぶつぶつ文句を言われつつはじめて単身赴任した関西は、「ふつうの人が、ふつうに楽しく暮らせる」ところだった。東京はそうではなく「何者かになりたい!」という男社会の欲望をかきたてるところだった、と、初めて実感した。東京は本質的にギャンブルをしに行くところとして昔から考えられていたから、いつでも米国型になる素質を充分に持っている。
日本は米国の真似をしちゃいけない。ふつうの人がふつうに楽しく生きていかれるところで、日本はあってほしい。なんて、最近は思っています。
ところで、現在の米国の不動産ですが、この不況にもかかわらず、バブルになってまして、サンフランシスコからクルマで1時間(ということは100kmくらい - 小田原-東京くらいの距離だね)、というところの小さな一軒家でも一億円くらいする。5年前までは2千万円くらいだったのに。。。。あの国の今の「お金」は、本当に狂ってる、としか思えない。
お金持ちがますますお金持ちになる。貧しい人がますます貧しくなる。そして、貧しい人からの限りない収奪があの手この手で巧妙に、究極まで行われている国。それが今の米国なんだと、言い切ってもいいと思う。
しかしね、米国の第32代大統領、フランクリン・D・ルーズベルトは、「米国民の幸福はその経済的なものでの平等でなされなければならない」「前の世代は王制専制の時代だったがこれからは企業専制の時代になるだろう」「だから、経済を法律でちゃんとしていかなければならないのだ」と言っていたんだよ。多国籍企業がこんなに跳梁跋扈する時代のはるか前に、それを予言していた、というわけだ。これほどのインテリの大統領を過去に抱えていながら、今の 米国の体たらくはいったいなんなんだ!と言いたいね。
投稿者 nori-m : 2005年01月21日 23:11