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2005年01月18日
Goodbye Mr.Chips

この前、500円で渋谷の本屋で買ったDVDチップス先生さようなら(映画生活ヘのリンク)を見た。涙が止まらない、本当に良い映画だね。ぼくはミュージカルでこの映画を昔見たことがある。1969年のその映画は、チップス先生の恋が中心、という感じだったから、チップス先生の妻の役のペトゥラ・クラークがとてもまぶしかったことを覚えている。ちなみに、チップス先生役はピーター・オトゥールだった。今でも、「チップス先生」といえば、そのときの音楽が口を突いて出るくらい、その音楽も好きだった。でも、このDVDはぼくが昔見たミュージカル仕立てのもののさらに前、モノクロのフィルムで、1939年の作品だ。
老チップス先生は、ヒラの教師のまま、学校での教師生活を終えた。そして一度引退した後、戦争で出征してしまって教師不足になった学校に、再び校長として迎えられた。そして、校長になった彼は戦争に出征していく子供たちを見守る。そのパレードを見る壇上でこんな会話がある。チップス校長の隣には、軍人の将校がいる。将校は「すばらしいですな!明日の将校たちだ!」と言うと、何人もの生徒たちを戦争で失っているチップス先生はこう返す。「明日というものがなければ良いですな」。
全編、どんなに厳しい状況にあっても、このような知的なユーモアにあふれた会話が交わされる。この会話を聞いているだけでも素晴らしい映画だけれども、このくだりがなぜか心に残る。
いま、世の中は第二次大戦後のアメリカを中心とした経済的繁栄の時代を終わり、また戦争の時代へと向かっているように見える。希望だけが語り継がれる世の中が終わったこの時代に「チップス先生さようなら」を見ると、またこんな時代がやってくる予感が、実はひしひしとしてくる。
男は戦争に行く。女が幼い子供を抱えて家に残る。やがて来る悲しい知らせを、老チップス先生は、ひとつひとつ、生徒たちとともに悲しむ。やがて年月がたち、その幼い子供が学校に入学してくる。「おお、コリーか。君のお父さんをぼくは教えたよ」。
この映画は、残酷なシーンこそないけれども、本当は戦争の映画だ。戦争に否応なしに巻き込まれていく一人一人の人生を、かみしめるようなチップス先生のまわりのエピソードで語る。戦争とはこういうものなのだ、ということを、まだまだ平和のなかにいるぼくたちに教えている。戦争とはこの世に住む普通の人、一人一人にとってどういうものか、ということを、深く静かに教えてくれる。
投稿者 nori-m : 2005年01月18日 23:26